奨学金の固定金利、2022年卒業時の6倍以上に。学費が上がる今、あなたの場合で教育資金を確認しませんか

岡FP事務所の岡です。

先日、奈良市内でご相談いただいたご夫婦から、「奨学金の金利がいつの間にかこんなに上がっていて驚いた」というお話をうかがいました。実際に数字で見ると、2022年3月に卒業した世代の奨学金(第二種・固定方式)の金利は0.369%でしたが、2026年3月卒業の世代では2.423%まで上がっています。わずか4年ほどで、6倍以上という変化です。

同じ時期に、大学の授業料も上がっています。「奨学金を使えば何とかなる」という、これまで当たり前のように考えられてきた前提が、少しずつ変わり始めているのかもしれません。

この記事では、なぜ奨学金の金利が上がっているのかという背景から、あなたの場合に置き換えるとどんな違いが生まれるのかまで、できるだけ具体的な数字を使って整理していきます。読み終えたときに、「自分の場合はこうかもしれない」という手がかりが見つかれば幸いです。

※この記事の数値は執筆時点(2026年10月)の情報です。

奨学金の金利はなぜ、こんなに上がったのか

まず、何が起きているのかを整理しておきます。

日本学生支援機構(JASSO)の奨学金のうち、利子がつく「第二種奨学金」には、ずっと金利が変わらない「固定方式」と、一定期間ごとに見直される「利率見直し方式」があります。固定方式の金利は、2022年3月に卒業した学生で0.369%でした。これが、2026年3月卒業の学生では2.423%まで上がっています。

2022年3月卒業世代
0.369%
奨学金(第二種・固定方式)の金利
2026年3月卒業世代
2.423%
同じ奨学金の金利。約4年で6倍以上に

背景にあるのは、日本銀行の金融政策の変化です。長く続いた低金利政策が見直され、政策金利が段階的に引き上げられてきました。奨学金の固定金利は、長期金利(10年国債の利回りなど)に連動する仕組みのため、政策金利の変化が時間差で反映される形で、このような上昇につながっています。住宅ローンの金利も同じ流れの中で上がってきており、「金利がある世界」に戻ってきた、というのが今の時代の位置づけと言えそうです。

学費の面でも、変化が重なっています。国立大学では、国からの運営費交付金が2004年度から2024年度の20年間で約1,600億円、率にして13%ほど減らされてきました。物価上昇を踏まえた実質的な削減幅はさらに大きいとみられ、2024年には国立大学協会が「もう限界です」と訴える緊急声明を出すほどの状況になっています。この結果、2025年度に東京大学が約20年ぶりに授業料を引き上げたのを境に、標準額を超える授業料を設定する国立大学が増えています。私立大学でも、物価や人件費の上昇を理由に、全学部での値上げに踏み切る大学が目立つようになりました。

奨学金の金利上昇と学費の上昇が、同じ時期に重なって起きている。これが、今の教育資金を考えるうえでの時代背景です。

あなたの教育資金、どのタイプに近いですか

ここまでの話を読んで、「自分の場合はどうなんだろう」と感じた方もいらっしゃると思います。教育資金の考え方は、ご家庭によって驚くほど違います。まずは、どのタイプに近いか考えてみてください。

💰
TYPE A
とにかく自分の手元資金で貯めたい
奨学金という「借金」への抵抗感が強く、できるだけ自己資金で用意したいタイプ。
📈
TYPE B
制度は賢く使って、資金は運用に回したい
奨学金や減免制度を積極的に活用し、浮いた分を運用に回したいタイプ。
🌱
TYPE C
まだ子供が小さく、方針を決めていない
お子さんがまだ乳幼児〜小学生で、何から考えればいいか分からないタイプ。

どのタイプに近かったでしょうか。実は、どのタイプが正解ということはありません。大事なのは、自分がどちらに近いかを自覚したうえで、一度数字で確認しておくことです。次の章で、具体的な数字を見ていきましょう。

数字で見る、奨学金を使うときの違い

ここからは、モデルケースを使って具体的な数字を確認してみます。

国公立大学(4年・自宅)
約260万円
私立大学・文系(4年)
約400万円
私立大学・理系(4年)
約540万円
自宅外通学・生活費込み総額
500〜1,000万円

お子さんが2人いれば、単純計算でその2倍の資金を見込む必要があるということになります。

次に、奨学金の金利差が実際の負担にどう影響するか、試算してみます。

前提:第二種奨学金を月5万円、4年間(48か月)借りる場合、借入総額は240万円になります。これを卒業後20年(240回)で返済すると仮定します。

2022年3月卒業(金利0.369%)
月々 約10,379円
総利息 約9万円
2026年3月卒業(金利2.423%)
月々 約12,627円
総利息 約63万円
利息の差額
約54万円
(240万円・20年返済の場合)

同じ240万円を借りても、金利の違いだけで利息の総額に50万円以上の差が生まれる計算になります。もちろんこれは一例の試算で、実際の金利や返済期間、借入金額によって数字は変わります。大切なのは、「自分が借りる場合、どのくらいの利息になるのか」を一度計算してみることです。多子世帯向けの大学無償化制度が使える場合は、その分の負担も変わってきますので、合わせて確認しておくと良いでしょう。

守りは保険、攻めはNISA。教育資金をどう組み立てるか

ここまでの数字を踏まえて、どう考えればいいのか、岡FP事務所でいつもお伝えしている考え方を整理します。

私がご相談でお伝えしているのは、「守りは掛け捨て保険で盤石に、攻めはNISAで最高効率に」という考え方です。保障と資産運用を、同じ商品でまかなうのではなく、明確に分けて考えるという発想です。

教育資金に当てはめると、次の3つの軸で考えることになります。

1
いくら必要か、を先に数字で確認する
お子さんの進路によって必要額は大きく変わります。「とりあえず貯める」より、「このくらい必要」という目安を先に持つほうが、準備がしやすくなります。
2
奨学金は「使わない前提」で計画しつつ、選択肢として残す
金利が上がったからといって、使えない制度になったわけではありません。ただ、以前よりコストがかかる選択肢になったことは踏まえておきたいところです。
3
もし自分に何かあったときの備えも、別に考えておく
基本は掛け捨ての生命保険で、お子さん1人あたり1,000万円前後が目安になることが多い「もし」のときの教育費をカバーしておくことです。

NISAで運用しながら、奨学金という制度もうまく併用するという考え方については、奨学金をあえて使う教育資金戦略でも詳しく触れていますので、気になる方はあわせてご覧ください。また、もし自分に何かあったときの備えとして、生命保険料控除が最大6万円まで拡充される見込みも出ています。見直しのタイミングとしても悪くないかもしれません。詳しくは保険の見直しに関する記事でも整理しています。

奈良市・生駒市近郊にお住まいの共働き子育て世帯の方からは、「どのくらいNISAに回して、どのくらい現金で確保しておくべきか」というご相談を特に多くいただきます。これは本当にご家庭ごとに事情が異なるので、一般論だけでは判断しづらい部分です。一度、ご自身の数字で確認してみることをおすすめします。

よくある疑問にお答えします

Q. 奨学金は今、借りない方がいいのでしょうか?
A. 金利が上がったことで、以前よりコストは増えています。ただ、2.423%という金利も、消費者金融や教育ローンと比べれば低い水準です。「借りない方がいい」と決めつける前に、自分の場合の利息額を計算してみることをおすすめします。

Q. 子供が2人、3人いる場合、教育資金はどう考えればいいですか?
A. 単純に人数倍と考えるのが基本ですが、多子世帯には大学無償化などの支援制度もあります。対象になるかどうか、早めに確認しておくと計画が立てやすくなります。

Q. 高校の授業料は無償化されたと聞きましたが、教育費の準備は減らしてもいいですか?
A. 高校の授業料支援が拡充されても、対象は授業料のみです。制服代や塾代、部活費用などは残ります。「無償化されたから準備しなくていい」と考えるのではなく、浮いた分をどう使うかを考える機会と捉えるのがよさそうです。

まとめ:教育資金、まず確認したい3つのこと

✓
奨学金の金利は、2022年3月卒業世代の0.369%から2026年3月卒業世代の2.423%まで、約4年で6倍以上に上昇している
✓
大学の学費も、国立・私立とも上昇傾向にあり、「奨学金を使えば何とかなる」という前提は変わりつつある
✓
自分の場合の金額(借入額・利息・必要総額)を一度計算してみることが、最初の一歩になる

教育資金は、一般的な正解がない分野です。だからこそ、自分の家庭の数字に置き換えて考えることが、何よりの安心材料になります。

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岡祐貴
この記事を書いた人
岡 祐貴 岡FP事務所 代表・ファイナンシャルプランナー

奈良市生まれ・在住。相談実績800件以上、生命保険28社・損害保険13社から比較できる独立系FP。「守りは掛け捨て保険、攻めはNISAで最大効率に」をモットーに、奨学金や教育資金に関するご相談にも数多く対応している。自身も小学生の娘を持つ一児の父。

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