わが家のお金、このままで大丈夫?FPが相談現場で見てきた「家計と保険の10問チェック」

岡FP事務所の岡です。

「保険はちゃんと入っているし、うちは大丈夫だと思う」。そう思っていませんか?

実は、相談に来られるご家庭の多くが、同じように「うちは大丈夫」と思っていらっしゃいます。でも、ご家庭の数字を一緒に見ていくと、「これに早く気づいていれば…」というところが見つかることが、本当によくあります。

私はこれまで、年間150〜200件、累計で約800件のお金の相談を受けてきました。この記事では、その相談の現場で特によく見かける「お金の落とし穴」を10個にまとめました。

まずは下のチェックで、あなたの家にいくつ当てはまるか、確かめてみてください。読むのは、当てはまったところだけで大丈夫です。

まずはチェック!当てはまるものはいくつありますか?

保険

  • ① 世帯の保険料が、月3万円をこえている
  • ② 変額保険や、毎月払いのドル建て保険を続けている
  • ③ 昔入った保険を、払済にしたままそのままにしている
  • ④ 入っている保険が、医療の保障メインになっている
  • ⑤ 勤め先の団体保険や共済に入っていて、割安だと思っている
  • ⑥ 1つの保険会社の担当者から、すすめられるままに入った

ふやす

  • ⑦ NISAとiDeCo、どちらを優先すればいいかわからない

住宅ローン

  • ⑧ 住宅ローンを、今のペースで最後まで返していけるか不安

教育費

  • ⑨ 子どもの学費を、どうやって準備するか決まっていない
  • ⑩ 奨学金は借りないつもりだ

💡 3つ以上当てはまった方へ

お金の流れを一度整理すると、毎月の家計がぐっとラクになるかもしれません。まずは、当てはまったところの解説を読んでみてください。

① 世帯の保険料が、月3万円をこえている

保険は、入りすぎても足りなくても困ります。大切なのは、適切な保障内容に、適正な保険料を払っているかです。

目安は「手取りの1割未満」。世帯主の保険は、年齢にもよりますが月1万3,000円〜2万円ほど。共働きなら、奥さまにも同じくらいの保障が必要なこともあります。必要な保障を掛け捨て保険でそろえると、世帯で多くても月3万円ほどに収まるケースがほとんどです。

月3万円を大きくこえている場合

貯蓄型の保険(変額保険・ドル建て保険・学資保険など)に入っているケースが多いです。

  • 思った以上に払っているのに、保障はあまりついていない
  • 本当に必要なところの保障が手薄で、偏った保障になっている(掛け捨てなら、同じ保険料で幅広くそろえられるのに)
  • そのわりにお金はそれほど貯まらず、長いあいだお金を自由に動かせなくなる

逆に、少なすぎるのも危険です

世帯で県民共済だけ、というケースは、いざというときの保障額が少なすぎることがほとんどです。

私のご提案の考え方

  • 月々払いの変額保険・ドル建て保険・学資保険は、基本的におすすめしていません。貯蓄の状況によっては、入院保険をおすすめしないことも多いです。
  • ライフプランを一緒に考えたうえで、「本当に起きてしまったら、家計が崩れてしまうところ」にピンポイントで必要な保障をご提案します。
  • たばこを吸っていない方や、健康診断の結果を出していただける方には、割引が使える保険会社もご提案します。

🙋 FP岡のひとこと

私のご提案は、基本的に「掛け捨て保険×NISA」。これが、もしもへの備えとお金のふやし方の、いちばんいい組み合わせだと考えています。特別な理由がない限り、保険は掛け捨てでご提案するスタイルで、保険を見直したお客さまにもたくさん喜んでいただいています。

② 変額保険や、毎月払いのドル建て保険を続けている

最近は、円建ての終身保険・養老保険・学資保険の利回りがとても低くなっています。そのかわりに広く売られているのが、払った保険料を保険会社が投資信託のように運用する変額保険や、ドル建て保険です。窓口や訪問型の保険屋さんでも、よくすすめられています。

でも私は、これらをおすすめすることはほとんどありません。理由は次の5つです。

1. 「保障のためのコスト」がずっと引かれる

ネットでは「手数料が高い」とよく言われますが、実は大きいのは保障関係費(保障を用意するためのコスト)です。毎月の保険料から、ずっと引かれ続けます。

2. 必要以上に長い期間で契約していることが多い

教育費のために入ったのに、払う期間が意味なく長めになっていたり、「使わなかったら先延ばしできるので」と80歳・85歳までの契約になっていたりするケースをよく見かけます。

変額保険は一般的に、保険期間を一定以上(最近は30年以上など)にすると、募集する側の手数料が高くなるようになっています。長い契約そのものが悪いわけではありません。でも、保険期間は長ければ長いほど、保障関係費も高くなります(保険会社が長いあいだ保障するリスクを抱えるため)。本当は短い期間で設計したほうがお金は貯まりやすいのに、手数料のために意味なく長く契約しているケースをよく見かけます。

「なぜこの保険期間なのか」をご自身で説明できないなら、見直しを考えるサインです。

3. 死亡保険金と解約返戻金は、どちらか一方しか受け取れない

亡くなったときは死亡保険金、解約したときは解約返戻金。両方はもらえません。つまり、死亡保険金の大半は、自分で貯めてきたお金(解約返戻金)が、そのまま家族に払われているだけということもあるのです。

保険と投資を分けておけば、万一のときは掛け捨て保険から保険金が出て、投資信託は投資信託として家族に残ります。ご家族に残せるお金が、ずっと多くなります。

4. 解約したときの税金を知らない方がほとんど

「何倍にもなって返ってくる」と言われても、解約したときにいくら税金を払うかまで説明を受けている方は、ほとんどいません。「そんな説明はなかった」と、私の話で初めて知る方ばかりです。

5. 払済にしても、お金はほとんど育たない

  • 毎月払いのドル建て保険の中身は、多くが債券での運用です。払済にして置いておいても大してふえず、10年、20年、30年近くたって、ようやく払った保険料とトントン、ということがほとんどです。
  • 変額保険も、一度払済にすると、ふえ方が一気に遅くなります。保障関係費は、そのあとも引かれ続けます。
  • そのお金をNISAなどで運用していれば、時間を味方にもっと育てられたはず。保険の中に一生置いたまま、チャンスを逃し続けるお金になってしまいます。

きちんと計算すると、ほとんどのケースでNISAで育てるほうが有利です。必要な保障も、掛け捨て保険のほうが、少ない保険料で大きく用意できます。だから私は、多くの場合、解約して「必要な保険+投資信託」に切り替えるご提案をしています。

⚠️ すぐにやめないほうがいい例外もあります

低解約返戻金型(払っている期間中は戻るお金が少ないかわりに、保険料が割安な保険)で、あと1年ほど払えば戻るお金が大きくふえるといった場合は、その期間だけ続けて、戻るお金がふえてから解約するようにお伝えしています。こうした特別な場合でなく、まだ何年も払い続ける必要があるなら、解約して切り替えるご提案が多いです。どちらに当てはまるかは、契約の中身を見て個別に計算します。

③ 昔入った保険を、払済にしたままそのままにしている

「払済(はらいずみ)」は、それ以降の保険料を払わずに、保障を小さくして保険を残す方法です。

「解約するよりは損しない」と思って、そのままにしている方は多いです。でも、こんなことが起きています。

1. 入ったときの目的から、変わってしまっている

払済にした時点で、保障額は小さくなります。家族を守るため、学費のため…と入ったはずの保険が、もうその役目を果たせていないことがほとんどです。「保険には入っている」と安心して、今の家族に必要な保障が足りていないこともあります。

2. お金が「眠ったまま」になる

②でも書いたとおり、払済にしてもお金はほとんど育ちません。

  • ドル建て保険は、中身の多くが債券での運用。何十年置いて、ようやく払った保険料とトントンということも
  • 変額保険も、払済にするとふえ方が一気に遅くなり、保障関係費はそのあとも引かれ続ける

そのお金をNISAなどで運用していれば、時間を味方にもっと育てられたはずです。払済のまま置いておくことは、「損をしていない」のではなく、「育つはずだった分を逃し続けている」状態なのです。

3. 「払済前提」の提案を受けた方は、特に注意

最近、「80歳までの保険に入って、5年(または10年)払ったら払済にしてください」といった、はじめから払済にすることを前提にした提案を受けている方もいらっしゃいます。

これは、お客さまの資産を大きく減らしたり、お客さまにリスクを背負わせたりしながら、募集する側が手数料を稼ぐやり方です。お客さまのためではなく、手数料のための提案といえます。

🚨 こうした提案を受けたことがある方へ

必ず見直しが必要です。ただし、自分の判断で急いでやめずに、至急ご相談ください。契約の中身を見て、いちばん損の少ない方法を一緒に考えます。

🙋 FP岡のひとこと

払済は「とりあえず残しておく」には向いていません。今の保障は掛け捨てで必要な分だけ用意して、眠っているお金はNISAで育てる。そのほうが、守る力もふやす力も大きくなります。

④ 入っている保険が、医療の保障メインになっている

保険は「期待値がマイナス」の金融商品

私は保険の話をするとき、必ずこの話からします。難しい言葉ですが、つまり保険は、ふつうは得をする商品ではないということです。

  • 保険会社は、掛け金数千円で、万一のときに何千万円も支払う商品を売っています。その支払いに備えて、しっかりお金をためておく必要があります。
  • さらに、支社や営業の経費を払ったうえでも保険会社が黒字になるように作られていて、はじめて金融庁の認可がおりる。それが保険です。
  • だから、入院給付金や手術給付金を受け取っても、「入って得した」とはなりにくい。全体で見ると、払う保険料のほうが多くなるしくみです。

できれば払いたくないもの。それが保険なんです。

それでも、保険が必要なところがある

では、保険には何も入らないのが正解かというと、そうではありません。自動車保険に入らずに車を運転する方は、ほとんどいませんよね。

めったに起きなくても、万一人身事故を起こして「2億円、3億円を支払ってください」と言われたら、ふつうは払えません。払えたとしても、その後の生活は成り立ちません。

めったに起きないけれど、起きたときの損失がとても大きくて、自分では抱えきれないリスク。それだけを、保険料を払って保険会社に肩代わりしてもらう。これが、保険本来のあるべき姿です。

医療は「自分で対処できる」ことが多い

入院は、体に関するリスクの中では起きやすいほうかもしれません。でも、日本の健康保険はとても手厚く、かかる費用はそこまで大きくなりません。

  • 高額療養費制度:ひと月の医療費の自己負担には上限があります(収入によって変わります。2026年8月から段階的に見直し中ですが、費用が倍になるようなものではありません)
  • 傷病手当金:会社員や公務員の方なら、病気やケガで仕事を休んだときに、お給料の約3分の2が支給されます(最長1年6か月)

小さなリスクまで何もかも保険で守ろうとすると、払う保険料が高くなり、結果的にお金を減らす原因になります。ある程度貯蓄ができているご家庭には、入院保険の解約をおすすめすることも多いです。

本当に持っておいてほしい保障

しっかり持っておきたいのは、この3つです。

  • 死亡:お子さまがいるご家庭は特に
  • 働けなくなったとき(就労不能):給料が途絶えたときの備え。住宅ローンの団信は、借金がゼロになるだけで、収入を補ってくれるわけではありません。支払いの条件もかなり厳しいことがあります
  • がん:長引くことが多い病気です

めったに起きなくても、起きたときの家計へのダメージが大きいところ。ここはしっかり保険をかけておきましょう。ライフプラン全体を考えて、収入を補える保険にきちんと入っているかが大切です。

🙋 FP岡のひとこと

保険は「卒業していくもの」。お金がないうちは保険で守り、お金が貯まったら、保険はどんどん卒業していく。最後には保険を卒業できるプランを、お客さまと一緒に考えています。

もうひとつ:短い期間で払い終える契約も、もったいない

一生涯の保障(終身タイプ)の保険を、60歳までなど短い期間で払い終える契約にしている方も多いです。でも保険は、払う保険料のほうが多くなるもの。必要な分を「終身払い」に変えるだけでも、毎月の家計がぐっとラクになったり、必要な保険を割安に持てたりします。当てはまる方は、一度見直してみてください。

⑤ 勤め先の団体保険や共済に入っていて、割安だと思っている

公務員の方や大きな会社にお勤めの方ほど、「うちの団体保険(共済)は、割引が効いていていちばん安い」と思い込んでいることが多いです。でも、ほとんどの場合、そうではありません。

今の民間の保険会社の商品は、保険料がとても安くなっています。保障の範囲などの中身でも、団体保険や共済に劣るものは、まず見かけません。私自身、お客さまの見直しで、私がご提案する商品より中身がいい団体保険・共済に出会ったことはありません。

団体保険や共済を悪く言いたいわけではありません。ただ、こうした情報は、なかなかお客さまに届かないのです。

理由は、料金の決め方にあります

  • 生命保険会社の保険は、たばこを吸うか、健康診断の結果などで料金を細かく分けています。健康な人ほど、ぐっと安くなるしくみです。
  • 団体保険や共済は、手続きを簡単にするために、年齢だけで一律の料金です。健康な人も、そうでない人も、同じ料金です。

つまり、健康な方は、本当ならもっと安くできるはずの分も含めて払っていることになります。同じ保障なら、民間の保険会社で見直すと安くなるケースがほとんどです。あまり知られていないので、見直しの効果がとても大きいところです。

反対に、たばこをたくさん吸い、体型もかなりふくよかな方などは、今の団体保険や共済を続けたほうが安いかもしれません。でも、そうでない方は、見直す価値がかなりあります。

特に、いろいろな保険会社の商品を扱う代理店のプランナーに、一度も相談したことがない方は、乗り換えるメリットがとても大きいと思います。

⚠️ 見直すときの注意

今の保険をやめるのは、新しい保険に入れたことを確かめてからにしてください。健康状態によっては、新しい保険に入れないこともあります。先にやめてしまうと、保障がない期間ができてしまいます。

⑥ 1つの保険会社の担当者から、すすめられるままに入った

保険会社の営業の方(直販)から入るのと、いくつもの保険会社を扱う代理店(乗合代理店)から入るのとでは、そもそもの保障内容から全然違います。

担当者の方を悪く言いたいわけではありません。私自身、直販から今の乗合代理店に移った一人ですし、直販で頑張っている、とても素敵な担当者の方もたくさんいます。これは人柄の話ではなく、ビジネスのしくみ上、どうしてもそうなってしまうという話です。

会社を比べると、こんなに変わる

  • 保険会社によって、得意な分野がまったく違う
  • まったく同じような内容でも、割引を使うと保険料が半分になることもある
  • 特に死亡保険や収入保障保険は差が大きく、「こんなことあり得るんですか?」と怪しまれるほど安くなることも

もちろん、「半分」は同じ内容で比べた場合の話です。必要な保障で設計し直すと、そこまで安くはならないかもしれません。でも逆に、同じ保険料で、本当に必要な保障をもっと取れる。これが見直しの効果です。

乗合代理店なら、いろいろな組み合わせの中から、今いちばん中身のいい商品を選んでご提案できます。

投資もわかるプランナーは、意外と少ない

保険だけを見直すのと、投資をする前提で保険を見直すのとでは、保険の選び方も、制度の使い方も大きく変わります。私は、お客さまにNISAやiDeCoの口座を開いていただき、投資をする前提で保険を設計しています。「これからNISAを始めたい」「今NISAをやっていて、保険も見直したい」という方には、きっとお役に立てます。

「保険会社がバラバラだと、管理が大変そう」という方へ

乗合代理店で入ると、保険会社がいくつかに分かれることがあります。そこは私が窓口になり、入っている保険を1つのファイルにまとめて、わかりやすく管理できるようにしています。担当者として、全体のかじ取りもします。

それに、保険を見直すのは、しょっちゅうではありません。数年に一度や、お子さまが生まれたとき、家を買ったとき、相続があったとき、まとまったお金が入ったときなど、人生の節目だけです。

そのために、毎月多めの保険料を払い続けたり、本当は続けるべきではない保険に入り続けたりする。そのバランスを考えると、私にご相談いただいたお客さまは、結果的に乗合代理店での加入を選ばれる方がほとんどです。

昔の保険をそのままにしている方、直販で1社だけに入っている方は、見直しの効果がとても大きいと思います。

⚠️ 見直すときの注意

⑤と同じく、今の保険をやめるのは、新しい保険に入れたことを確かめてからにしてください。

⑦ NISAとiDeCo、どちらを優先すればいいかわからない

どちらも、税金の優遇を受けながらお金をふやせる制度です。いちばんの違いは、いつ引き出せるか。ここまではご存じの方も多いと思います。

NISAiDeCo企業型確定拠出年金
引き出しいつでもOK原則60歳まで引き出せない原則60歳まで引き出せない
税金の優遇ふえた分に税金がかからないふえた分に加えて、積み立てた額が所得から差し引かれ、所得税・住民税が安くなるiDeCoと同じ優遇に加えて、会社の制度によっては社会保険料も安くなる
受け取るとき税金はかからない退職金などとあわせて税金の計算をする(税金がかかることがある)退職金などとあわせて税金の計算をする(税金がかかることがある)
始め方自分で口座を開く自分で口座を開く勤め先に制度がある場合に使える

制度だけで見ると、いちばん効果が大きいのは「企業型確定拠出年金」

iDeCoや、勤め先の企業型確定拠出年金のいちばんのポイントは、掛けた分を所得から引けて、所得税や住民税が安くなることです。

さらに企業型確定拠出年金は、会社の制度によっては社会保険料まで安くなる、もう一段上のしくみです。両方使える方は、企業型を優先したいところです。

でも、制度だけで選ばないでください

iDeCoや企業型は、原則として60歳まで引き出せません。たとえば、こんなことが起こり得ます。

  • 国公立に行くと思っていたお子さまが、私立の理系に進み、大学院まで行くことになった
  • 下のお子さまは、下宿することになった

学費が一気にかかるとき、NISAなら途中で売って乗り切れますが、iDeCoや企業型に入れたお金は使えません。いまが「これから資産づくりを始める」段階で、子育て中はあまり貯められず、お子さまが自立してから一気に老後資金をつくるようなご家庭なら、なおさらです。

これからのお金の流れを見たうえで、どの制度を使うか選ぶのが大切です。

「今は税金が安くなるから」だけで始めると、あとで損することも

iDeCoや企業型は、受け取るときに、会社の退職金とあわせて税金を計算します。長いあいだ投資して大きくふえると、掛けたときに安くなった税金より、受け取るときの税金のほうが多くなることもあります。

特に、公務員の方や大きな会社にお勤めで、退職金が数千万円単位になりそうな方は、どれくらいのペースで積み立てるかを、しっかり計算してから始めましょう。

🙋 FP岡のひとこと

NISA、iDeCo、企業型確定拠出年金。どれがいいかは、制度のお得さより、ご家庭のこれからのお金の流れで決まります。まだ始めていない方は、始める前に一度ご相談ください。

⑧ 住宅ローンを、今のペースで最後まで返していけるか不安

金利が上がるニュースを見ると、「固定金利に借り換えたほうがいいのかな」「繰り上げ返済したほうがいいのかな」と思いますよね。まず大切なのは、金利が上がったとき、毎月の返済額がどうなり、総額いくら払うのかを数字で知ることです。

今、固定金利に借り換えるのは損

ここ数年に借りた方の多くは、かなり低い金利で借りています。今から固定金利に借り換えると、金利が高くなりすぎて、さすがに損だと考えています(2026年10月時点の話です)。

  • 変動金利が上がっても、多くの方は元利均等返済で、はじめのうちに利息の大半を払っています
  • 返していくほど元金が減るので、金利が上がったときの影響も小さくなっていきます

もともと金利の高い固定金利で借りている方が、今の変動金利に借り換えるのは、メリットがあるかもしれません。いっぽう、変動から変動へ、同じ期間で借り換えても、今はあまり効果がありません。

おすすめは「手元のお金を増やして、投資に回す」借り換え

たとえば、返す期間を逆にのばす借り換えで毎月の返済を減らし、その分を積み立て投資に回す。こういう借り換えは全然アリだと思います。

20年、30年という長い期間で考えると、住宅ローンの金利より、投資のリターンのほうが上回る可能性が高いと考えています。絶対ではありませんが、過去はずっとそうでした。

繰り上げ返済も、同じ考え方

繰り上げ返済で減る利息と、そのお金を運用に回した場合を比べると、ほとんどのケースで運用に回したほうがいい結果になります。「投資はどうなるかわからないでしょ?」と言われますが、今は米国の金利が高いので、債券のようなわかりやすい方法でも、長い時間をかければ大きくふやせる可能性があります。

団信は、フルに活用する

もうひとつ大事なのが、団信(団体信用生命保険)です。

極端な例ですが、ローンが3,000万円残っていて、「利息を払うのが怖い」と現金3,000万円で全部返した。その次の日に亡くなってしまったら、手元には家しか残りません。

返し続けていれば、万一のときは団信でローンがゼロになり、家も手元のお金も両方残ります。団信はフルに活用しましょう。

これから借りる方へ:「借りられるか」より「返していけるか」

「いくら借りられるか」を気にされる方が多いですが、実はほとんどの方が借りられます。本当に大事なのは、実際に返していけるかです。「借りられる」と「返していける」は、まったく違う話です。

私は、金利が上がることも含めて、学費など予想されるライフイベントを全部入れたライフプランのシートを作って、一緒に組み立てていきます。

  • 「この物件は少し厳しいので、ここをおさえておきましょう」という具体的なアドバイス
  • 余裕がある方には「全然大丈夫。もっと楽しくお金を使ってくださいね」というアドバイス
  • それに合わせて、本当に必要な保険のいちばんいいプランのご提案

🙋 FP岡のひとこと

今借りている方にも、これから借りる方にも、「わが家は具体的にどうすればいいか」を、数字でお伝えします。

⑨ 子どもの学費を、どうやって準備するか決まっていない

教育費は、FP相談のお悩みでいつもトップ3に入るテーマです。私は学費について、奨学金を使える方は必ず使ってくださいねとお伝えすることが多いです(⑩でくわしく説明します)。

結論:積み立てておくのは「大学のお金」だけで、基本OK

幼稚園から高校までの教育費は、基本的に毎月のお給料から払っていくものです(特に高額な教育を受けさせる場合は別です)。大学のお金は毎月のお給料では払いきれないことが多いので、そこに向けて貯めていきます。

大学には、いくらかかる?

ざっくり、お子さま1人あたり実家から通うなら約500万円、仕送りなら約1,000万円を目安に準備しておくと安心です。

  • 国公立:約260万円
  • 私立文系:約400〜500万円
  • 私立理系:約600万円
  • 私立の医学部など:約2,000〜4,000万円(授業料が高く、6年制)

1人500万円、1,000万円を全部貯めるのは、現実的ではないかもしれません。でも、その半分以上を奨学金でまかなえれば、ぐっとラクになります。ただし、奨学金を使うから貯めなくていい、というわけではありません(⑩でくわしく説明します)。

理系は「大学院まで」を考えておく

大手企業の理系の就職では、大学院卒が条件になっていることが多いです。大学院でしか身につけられない技術や知識、研究が必要だからです。国公立で約6割、上位の大学では約9割が大学院に進みます。学費がさらに2年分、住む場所によっては仕送りもかかります。

仕送りは、月10万円ほど見ておきたい

仕送りの平均は月約7万円、下宿している学生の平均の支出は月約12万5,000円で、足りない分はアルバイトで補っているのが実情です。理系は研究室が忙しく、アルバイトが難しい学部もあります。アルバイトばかりの大学生活にさせないためには、月10万円ほどの仕送りがあると安心です。私立理系の学費と仕送りをあわせると、約1,000万円を準備しておきたいところです。

奈良は関西の大学に通いやすいので、仕送りが必ず必要というわけではありません。ただ、関東など遠くの大学を希望された場合は、仕送りとして約500万円を別に用意しておきましょう。

見落としがちなのが「入学前に払うお金」

奨学金は、はじめての振り込みが入学後の4月、遅いと6月ごろになります。入学金や前期の授業料には間に合いません。

  • 私立の受験料:1学部あたり約3万5,000円(10回受けると約35万円)
  • 本命の入学金:約30万円
  • 前期の授業料:約40〜50万円
  • すべり止めの入学金:約30万円
  • 遠くで受験するときの交通費・ホテル代、下宿の準備

この分は、お子さま1人あたり約200万円を、手堅く用意できると理想的です。児童手当にまったく手をつけなければ、約200万円ほど貯められます。このお金は、リスクの低い投資信託など、手堅い方法で準備していきましょう。

  • まとまったお金があるなら、債券のようなしくみのドル建ての一時払いの保険も選択肢です(②で書いた「毎月払いのドル建て保険」とは別のものです)

医学部など、とても高額な進路を選ぶ可能性がある方は、早い段階から準備を始めてください。下落に強いファンドなど、かための運用からのスタートがおすすめです。

小学校〜高校では、いくらかかる?

  • 小学生:年間約32万円(習い事が約22万円、給食など学校に払うお金が約10万円)。教育費がいちばんかかりにくい時期です。中学生からはお金が貯まりにくくなるので、今お子さまが小学生で、貯金や投資に回すお金がない場合は、早めの見直しをおすすめします。
  • 私立中学:都市部では、クラスの半分以上が私立中学に進む地域もあります。小学3年生ごろから塾代が月6〜8万円、卒業まで続くと考えておきましょう。こうした地域で高い水準の教育を希望する場合は、9歳から22歳ごろまで、大学と同じくらいのお金を払い続けることになります。
  • 公立中学:年間約50万円(学校に払うお金が約20万円、習い事が約30万円で、大部分は塾や家庭教師)。少子化で1人あたりにかける教育費は上がっています。定期テストで点を取らないと内申点がとれず、行きたい高校に進むのが難しくなるので、最低でも平均くらいの予算は見ておきたいところです。
  • 公立高校:年間約45万円(学校に払うお金が約28万円、習い事が約13万円)。ただしこれは、塾に通わない子も含めた平均です。本当に塾に通う子は、もっとかかります。高校3年生の1年間は、塾代として約80万円を見込んでおくといいと思います。偏差値の高い高校で予備校や塾に通う場合は、さらに約20万円かかります。ただ、3年間ずっと塾や予備校に通い続ける子はそれほど多くなく、授業をたくさん取れば成績が上がるわけでもありません。

学資保険は、今から新しく入るなら不要

準備の方法として、よくすすめられるのが学資保険です。でも、今から新しく入るなら、学資保険は不要です。

  • 学資保険の保障は、保険料が月1万5,000〜2万円でも200〜300万円ほど。しかも、万一のときに保険金が出るのではなく、その後の保険料が免除されて満期金が約束されるだけ
  • 学資保険の運用は日本国債が中心で、10年以上ふやすには物足りない

保障は掛け捨て保険で、ふやすのはNISAで。この組み合わせのほうが、守る力もふやす力も大きくなります。

毎月1万円を17年間積み立てた場合(元本204万円)で比べると、こうなります。

  • 学資保険(戻り率105%の例):約214万円
  • NISA(年3%で運用できた例):約266万円
  • NISA(年5%で運用できた例):約321万円

※戻り率・利回りは仮の数字です。NISAは元本割れすることもあります。

✅ 教育費のまとめ

1. 大学の学費は、お子さま1人あたり約500万円を準備
2. 関東など遠くの大学に進む場合は、仕送りとして約500万円を別に準備
3. 奨学金は、できる限り上手に使う(⑩で説明します)
4. 奨学金を使う予定でも、奨学金なしで払えるだけの準備はしておく
5. 奨学金の振り込みは入学後。1人あたり約200万円を手堅く用意できると理想的
6. 理系は大学院までを考えておく
7. 私立の医学部など、とても高額な進路の可能性があるなら、早めにFPに相談
8. 小学校〜高校の学費は、貯めて払うのではなく、毎月の家計から払う
9. 中学生からは教育費が高くなるので、小学生のうちに投資でどれだけ貯められるかがポイント

⑩ 奨学金は借りないつもりだ

「借金はしたくない」と思う方は多いです。でも私は、日本学生支援機構の奨学金は、使える方は必ず使ってくださいとお伝えしています。使える方にはぜひ使ってほしい、素晴らしい制度です。私自身も、奨学金を借りました。

  • 第二種奨学金なら、月12万円×4年間で最大576万円を借りられる
  • 在学中は返さなくてよく、利息もかからない。リスクゼロで4年間お金を借りておける制度です
  • 利率は「利率見直し方式」なら、とても低い金利(2026年3月に貸与が終わった方で年1.6%)。カーローンよりも良い条件です
  • 奨学金はお子さまが借りる制度ですが、親が返してもかまいません

投資信託を500万円持っている、AさんとBさんの例

AさんBさん
どうした?奨学金はダメだと思い、投資信託500万円を売って学費を払った投資信託は売らずに、奨学金で学費を払った
利息なし在学中はなし。卒業後に少しずつ
4年後の投資信託0円(もうふえない)年5%で運用できた場合、約108万円ふえて約608万円

※年5%は仮の利回りです。投資信託は元本割れすることもあります。

返すときの利息は、どのくらい?

576万円を年1.6%で、20年かけて返す場合、毎月の返済は約2万8,000円、20年間の利息は合わせて約97万円です(目安の計算です)。毎年元金が減っていくので、利息もどんどん減っていきます。

私も今、奨学金を返していますが、一括で返すことはしていません。金利が安すぎて、早く返すメリットがほとんどないからです。⑧の住宅ローンで、繰り上げ返済をおすすめしない理由と同じです。

⚠️ よくある勘違い:「借金して投資すればいいんですね?」ではありません

伝えたいのは、学費は手元のお金から払わずに、低い金利の奨学金で払いましょうということです。そうすれば、手元のお金は運用を続けて、さらに大きく育てられます。また、「奨学金を借りる=教育費を貯めなくていい」でもありません。お金はしっかり準備したうえで、奨学金を使って手元のお金を減らさずに運用を続ける、という考え方です。

⚠️ 年収の制限に注意

奨学金には、家族構成などによって変わる年収の制限があります。世帯年収がおおむね1,100〜1,200万円をこえる場合は要注意です。その場合は、奨学金を使わなくても払えるように準備しておきましょう。

まとめ:いくつ当てはまりましたか?

  • 保険料は「手取りの1割未満」、掛け捨てなら世帯で月3万円ほどが目安
  • 変額保険・毎月払いのドル建て保険・払済のままの保険は、「育つはずだったお金」を逃していることが多い
  • 保険は「期待値がマイナス」。持っておきたいのは、死亡・働けなくなったとき・がんの3つ
  • 団体保険・共済や、1社だけで入った保険は、見直しの効果が大きい
  • NISA・iDeCo・企業型は、制度のお得さより「これからのお金の流れ」で選ぶ
  • 住宅ローンは、今、固定に借り換えるのは損。手元のお金を増やして投資に回す考え方を
  • 学費は大学の分を準備しつつ、奨学金は使える方は必ず使う

どの落とし穴も、ご家庭の数字に当てはめてみないと、本当の答えは出ません。保険の中身、ローンの残り、お子さまの年齢によって、ちょうどいい形は変わるからです。

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岡祐貴
この記事を書いた人
岡 祐貴 岡FP事務所 代表・ファイナンシャルプランナー

奈良市生まれ・在住。相談実績800件以上、生命保険28社・損害保険13社から比較できる独立系FP。「守りは掛け捨て保険、攻めはNISAで最大効率に」をモットーに、保険の見直し・教育資金・住宅ローンのご相談に数多く対応している。自身も小学生の娘を持つ一児の父。

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