金利が上がってきた今も、住宅ローンは基本「変動」で借りる。私がそう考える理由
岡FP事務所の岡です。日銀は6月に政策金利を1%程度まで、9月にはさらに0.25%引き上げて1.25%にしました。固定金利の代表格・フラット35(買取型)は3.83%と、集計開始以来の最高水準です。
「変動と固定、どっちで借りればいいですか」「もう借り換えたほうがいいですか」というご相談を、奈良市・生駒市近郊の子育て世帯の方からよくいただきます。ニュースでは「金利上昇」「固定に乗り換えるなら今」という言葉が目立つので、不安になるのは当然だと思います。
先に結論をお伝えします。今の段階では、私は基本的に変動金利をおすすめしています。そして、頭金は入れず、繰上返済も急がず、手元のお金は残して運用に回す。借り換えも、多くの場合は基本「なし」です。
「金利が上がっているのに、なぜ変動?」と思われた方も多いはずです。この記事では、一般的な数字や見方と、私がなぜそう考えるのかを分けて、できるだけくわしくお話しします。少し長い記事ですが、住宅ローンで後悔しないための考え方を、ひと通り押さえられるようにしました。
※2026年10月時点の私の考えです。金利の環境が大きく変わった場合は見直します。記事中の試算は説明用の一例で、実際の金利・条件は金融機関によって異なります。
目次
金利はなぜ上がっているのか。変動金利が上がる3つの条件
日本銀行は2026年6月16日の会合で政策金利を1%程度へ(約31年ぶりの水準)、9月17〜18日の会合でさらに0.25%引き上げて1.25%にしました。賃金の上昇が続き、物価目標の達成に確度が高まったことが背景とされています。
※この記事の数値は執筆時点の情報です。
固定金利は、10年国債利回りの上昇をいち早く反映して上がりました。一方の変動金利は、政策金利と「短期プライムレート」に連動するため、動き方がゆっくりです。10月の見直しで多くの銀行が変動金利を引き上げ、短期プライムレートも11月2日に引き上げられる見通しです(三菱UFJ銀行やイオン銀行のように据え置く銀行もあり、対応は分かれています)。
変動金利が上がるのは、主にこの3つのとき
- 日銀が政策金利を引き上げたとき:いちばん大きな要因です。政策金利が上がると、銀行の短期プライムレートが上がり、住宅ローンの変動金利もそれに合わせてじわじわ上がります。
- 物価が上がり続けているとき(インフレ):インフレを抑えるために、日銀が利上げを決める理由になります。
- 海外、特にアメリカの金利が上がるとき:円安が進み、輸入品の値段が上がって物価が上がると、日本も利上げを考えざるを得なくなります。
逆に、日銀が金利を据え置く・景気が弱い・円高で輸入コストが下がる、といったときは、変動金利も低いまま保たれやすくなります。
上がるとしても「じわじわ」だと考えています
金利を急に上げすぎると、企業や家計への負担が大きく、景気が腰折れするリスクがあります。今の日本は、物価上昇は続いているものの、給与の伸びはまだ緩やかです。だから日銀は、金利をゆっくり慎重に上げるはずだ、というのが私の見方です。
また、銀行は「優遇幅」を調整して金利を決めています。急に金利を上げるとお客様が離れてしまうので、引き上げは段階的になりやすい。このため、住宅ローンの変動金利も「じわじわ」上がる可能性が高いと考えています。
理由1:最初の10年で、利息の約半分を払うから
住宅ローンは、はじめのほうほど利息が多い
元利均等返済では、毎月の返済額は同じでも、その中身(元金と利息の割合)は変わります。返済のはじめは残高が大きいので、毎月の返済のうち利息の割合が多く、だんだん元金の割合が増えていきます。
借入3,500万円・35年・元利均等で、金利ごとに試算してみました。
| 金利 | 毎月の返済額 | 35年間の利息の総額 | 最初の10年で払う利息の割合 |
|---|---|---|---|
| 0.5% | 約90,900円 | 約316万円 | 約48% |
| 1.0% | 約98,800円 | 約650万円 | 約47% |
| 1.5% | 約107,200円 | 約1,001万円 | 約47% |
| 2.0% | 約115,900円 | 約1,370万円 | 約46% |
※試算。金利は35年間一定とした場合。
だから「スタートの金利が低いこと」がいちばん効きます
どの金利でも、利息の総額の約半分を、最初の10年で払います。つまり、住宅ローンの利息負担は「最初の10年の金利」でほぼ半分が決まる、ということです。
今は、変動金利のほうが固定金利よりずっと低い状態です。利息をいちばん多く払う最初の時期を、低い金利で走れることの価値は大きい。仮にその後に変動金利が上がって、固定金利を上回る時期が来たとしても、そのころには残高が減っているので、影響は小さくて済みます。これが、私が「基本は変動」とお伝えするいちばんの理由です。
理由2:今の固定金利は、スタートから高いから
同じ借入3,500万円・35年で、月々の返済額を比べると、次のようになります。
「上がるかもしれない」に、最初から毎月4万円以上払う必要はない
固定(3.83%)は、変動が1.5%まで上がった場合と比べても、毎月4万円以上高い計算です。固定は「この先、金利が上がっても大丈夫」という安心を買う選択ですが、今の水準だと、その安心料がかなり高くついています。
しかも、この差額は「最初の10年」という、利息をいちばん多く払う時期に毎月かかります。浮いた分を、生活の備えや教育費、NISAでの積立に回せることを考えると、私は今の段階では変動のほうが合理的だと考えています。
理由3:5年ルール・125%ルールで、急には跳ね上がらないから
変動金利の「5年ルール」と「125%ルール」
多くの銀行の変動金利には、金利が上がっても5年間は毎月の返済額が変わらない「5年ルール」と、見直しのときも直前の返済額の1.25倍までしか上げない「125%ルール」があります(ルールの有無や内容は銀行によって違います)。
具体的な例で見てみます。借入3,500万円・35年・金利1.5%で借りた場合、毎月の返済額は約107,200円、5年後の残高は約3,105万円です。6年目から金利が上がった場合、必要になる返済額は次のとおりです。
| 6年目からの金利 | 必要な返済額(残り30年) | 125%ルールの上限(約13.4万円) |
|---|---|---|
| 2.0% | 約114,800円 | 上限内 |
| 3.0% | 約130,900円 | 上限内 |
| 4.0% | 約148,200円 | 上限を超える(超えた分は後ろに回る) |
※試算。5年後に金利が変わり、その後は一定とした場合。
「返済額が変わらない」と「負担が増えていない」は別です
ここは、きちんとお伝えしておきたい注意点です。返済額が据え置かれている間も、金利が上がれば、毎月の返済のうち利息の割合が増え、元金の減りは遅くなります。上の例で、残高約3,105万円のときに金利が約4.1%を超えると、月の利息が月の返済額(約10.7万円)を上回ります。払いきれない利息は「未払い利息」として残り、完済が延びたり、最後にまとめて払う必要が出たりします。
だから私は、「ルールがあるから大丈夫」とは言いません。大事なのは、金利が上がっても払える額で借りることと、手元にお金を残しておくことです。この2つがあれば、変動の金利上昇は十分に乗り切れると考えています。
固定を選んだほうがいい人は、2タイプだけ
とはいえ、全員に変動をおすすめするわけではありません。私が「固定のほうがいい」とお伝えするのは、次の2タイプの方です。
今後5〜10年で、変動金利が固定金利に追いつくと考えている人。銀行の短期プライムレートが4〜5%になると、住宅ローンの変動金利も3%台になる計算です。これはバブル後半のように、インフレが止まらなかった時期の水準です。可能性はゼロではありませんが、現実的には考えにくい、というのが私の見方です。それでもそう見ているなら、固定を選ぶのは筋が通っています。
固定の2%台より、さらに0.5〜1%金利が上がっただけで、すぐに支払いが苦しくなるご家庭。このときは、固定に逃げるより先に、住宅の予算そのものを下げることをおすすめします。固定にしても、返済の重さは変わらないからです。
借入額は「金利3%でも払えるか」で決める
「借りられる額」と「返せる額」は、まったく別もの
銀行が貸してくれる額(借りられる額)は、年収などから機械的に決まります。一方、毎月無理なく返せる額(返せる額)は、教育費・車・老後の準備など、ご家庭のこれからのお金の流れで決まります。一般には、年収に対する年間返済額の割合(返済負担率)は25%以内がひとつの目安といわれます。
たとえば年収700万円のご家庭で、借入3,500万円・35年の場合です。
| 金利 | 毎月の返済額 | 年収700万円に対する返済負担率 |
|---|---|---|
| 1.5% | 約107,200円 | 約18% |
| 3.0% | 約134,700円 | 約23% |
だからこそ、ライフプランが必要です
私は、「金利が2.5〜3%になっても払えるか」で借入額を決めることをおすすめしています。そのうえで、お子さまの教育費がいつ・いくら必要になるか、車の買い替えや老後の準備はどうするか、といった「これからのお金の流れ」と重ねて確認します。借りられる額いっぱいで借りるのではなく、返せる額から逆算する。これが、変動金利で安心して借りるためのいちばんの土台です。
あなたはどのタイプ?
基本は変動。「金利が2.5〜3%になっても払える額」で借入額を決めましょう。銀行は1つに決めず、複数に仮審査を出して比べるのがおすすめです(くわしくは下の銀行の選び方で)。
慌てて固定にしないでください。まずは今の金利タイプ・残高・次の見直し時期を確認し、金利が3%になっても払えるかを試算しておきましょう。
当初3年・5年・10年などの固定期間が終わると、引き下げ幅が小さくなり、金利が上がることがあります。終わったあとの金利を、複数の銀行で比べましょう。条件が悪ければ、変動への借り換えが有利になることもあります。
頭金は入れない。繰上返済も急がない
一般的には「頭金を多く、繰上返済で早く返す」がよいといわれます
頭金を多く入れれば借入額が減り、繰上返済をすれば利息の総額が減ります。借金を早く減らしたい、という気持ちから、こうすすめられることが多いです。
手元のお金を、ローンに入れてしまうのはもったいない
私は、頭金は入れず、繰上返済も急がない、という考え方です。理由は3つあります。
① 住宅ローンの金利は、今でもかなり低い。1%前後のお金を急いで返すより、そのお金を手元に残し、NISAなどで長く運用するほうが、数字で見て有利になることが多いと考えています。借入は利息が「単利」で減っていく一方、運用は「複利」で増えていく可能性があります。
② 一度ローンに入れたお金は、戻ってこない。手元に現金があれば、急な出費や教育費、収入が減ったときにも対応できます。頭金や繰上返済で現金を減らすと、いざというときに困ります。
③ 団信の保障が小さくなる。団体信用生命保険(団信)は、万一のときにローン残高がゼロになる保障です。早く返すほど、この保障も小さくなっていきます。
- 生活費の半年〜1年分は、運用とは別に、すぐ使える形で残しておく
- 運用は元本割れすることがあります。「期待できる」であって「保証」ではありません
- 投資をまったくしない方なら、頭金を入れて繰上返済していくほうが合っています
- 親御さんからの援助は、住宅取得のための贈与(非課税の枠)が使える場合があります。受け取ったお金をどう使うかも、一度ご相談ください
借り換えは、基本「なし」。損益分岐を数字で見る
借り換えには、まとまった費用がかかります
借り換えでは、事務手数料(借入額の2.2%前後が多い)・登録免許税・印紙代などがかかり、合計で借入額の2〜3%程度になることが多いです。金利が下がっても、この費用を取り戻せなければ、借り換えた意味がありません。
残高2,500万円、借り換え費用を2.5%(約62.5万円)として、金利差ごとに費用を取り戻すまでの年数を見てみます(ざっくりの目安です)。
| 金利差 | 1年で減る利息の目安 | 費用を取り戻すまで |
|---|---|---|
| 0.3% | 約7.5万円 | 約8年 |
| 0.5% | 約12.5万円 | 約5年 |
| 1.0% | 約25万円 | 約2.5年 |
| 1.5% | 約37.5万円 | 約1.7年 |
金利差が「かなり大きい」ときだけ、検討します
今は金利が上がっている局面です。借り換え先の金利も、これから上がっていく可能性があります。金利差が小さいと、費用を取り戻す前に金利が上がってしまい、手数料が無駄になりやすい。だから私は、借り換えは基本「なし」と考えています。
検討していいのは、次のような金利差がかなり大きい人です。
- 固定金利で借りていて、変動との差が大きい人
- 条件の悪い高い金利で借りていたが、収入が増えるなどして、変動に借り換えると差が大きい人
この場合は、金利差と費用を実際に計算して、メリットが出るかを確かめます。「なんとなく得そう」で動かないことが大切です。
銀行の選び方と、仮審査の出し方
仮審査は、いくつか出して比べるのが基本です
住宅ローンは、銀行によって金利も、審査の通りやすさも、団信の中身も違います。最初から1つに決めず、次のようなところにまとめて仮審査を出して、いちばん条件のよいところで本審査に進むのがおすすめです。
- 地方銀行・信用金庫
- ネット銀行
- メガバンク
- 給与振込などで使っているメインバンク
- 不動産会社の提携銀行
比べるときは、金利だけでなく、団信の保障内容(がんや病気のときの保障など)や、諸費用も含めて見ます。とはいえ、仮審査が通ったあとは、どれを選ぶか迷う方がほとんどです。その段階でご相談いただければ、ご家庭の状況に合わせて一緒に比べます。
返済方式は「元利均等」が前提
元利均等と元金均等
元利均等返済は、毎月の返済額が一定です。元金均等返済は、毎月返す元金が一定で、はじめの返済額が大きく、だんだん減っていきます。総返済額は元金均等のほうが少なくなります。
はじめの負担を軽くして、そのぶんを運用に回す
元金均等は、はじめの返済額が大きくなります。私は、住宅ローンの返済をはじめのうち軽くして、浮いたお金を運用に回す考え方なので、元金均等とは相性がよくありません。基本は元利均等を前提にしています。
守りは掛け捨て保険、攻めはNISA
私がいつもお伝えしているのは、「守りは掛け捨て保険で盤石に、攻めはNISAで最大効率に」という考え方です。住宅ローンを組むと、多くの方が団信に入ります。団信は死亡・高度障害のときに残高がゼロになる仕組みで、働けなくなったときの収入減まではカバーしないものも多くあります。そこは、掛け捨ての医療保険や所得補償保険で備えます。
お子さまがいるご家庭では、教育費も大きな支出です。大学卒業までに1,000万円前後ともいわれます。住宅ローンの返済計画と同時に、いつ・いくら必要かを書き出しておきましょう。奨学金をあえて使う教育資金戦略の記事もあわせてどうぞ。
変額保険は「選択肢の一つ」くらいで
貯蓄の受け皿として、強制力のある変額保険を使う考え方もあります。ただ、数字で合理的に比べると、家計にはNISAのほうが有利になる可能性が高いケースが多いと思います。「つい使ってしまう」のが心配な方にとっての選択肢の一つとして、知っておく程度で十分です。保険の見直しについても、住宅ローンとあわせて確認しておくと安心です。
よくある質問
Q. 金利がこれから大きく上がったら、変動は危なくないですか?
5年ルール・125%ルールで、返済額が急に跳ね上がることはありません。ただし、未払い利息が積み上がることはあります。対策は、金利が2.5〜3%になっても払える範囲で借りることと、手元にお金を残しておくことです。この2つがあれば、いざというときも落ち着いて対応できます。
Q. 固定にして、安心したほうがよくないですか?
今の固定金利は、すでに高くなっています。スタートから毎月の返済が大きいので、その分を備えや運用に回せなくなります。上の「固定を選んだほうがいい2タイプ」に当てはまるかどうかで判断してください。
Q. 頭金を入れないのは、やっぱり不安です。
手元に現金があれば、急な出費や教育費、収入が減ったときにも対応できます。ただし、運用には元本割れがあります。生活費の半年〜1年分を別に確保したうえで、無理のない範囲で考えましょう。投資をまったくしない場合は、頭金・繰上返済が合うこともあります。
Q. 元金均等のほうが、総返済額が少なくて得では?
総額だけを見るとそうです。ただ、はじめの返済額が大きくなるので、手元のお金や運用に回せるお金が減ります。私は、はじめの負担を軽くして運用に回すほうを重視しているので、元利均等を前提にしています。
Q. ネット銀行と地方銀行、どちらがいいですか?
金利だけならネット銀行が低いことが多いですが、団信の中身や、相談のしやすさ、審査の通りやすさは銀行によって違います。どちらか1つに決めず、複数に仮審査を出して比べるのがおすすめです。
Q. 団信だけでは心配です。
団信は死亡・高度障害の備えです。働けなくなったときの収入減は、掛け捨ての医療保険・所得補償保険で別に備えるのが基本です。
まとめ:今日からできるチェック
金利のニュースを見るたびに不安になる、というお声をよくいただきます。大切なのは、ニュースの数字ではなく、あなた自身の借入条件での数字を知っておくことです。そのうえで、今の段階なら、私は「変動で借りて、手元のお金は残して運用に回す」ことをおすすめしています。
今の金利タイプ(変動・固定・当初期間固定)と、次の見直し時期を確認した
金利が2.5〜3%になっても払えるか、試算した
借りられる額ではなく、返せる額から借入額を考えた
手元のお金を、頭金・繰上返済に回しすぎていないか確認した
仮審査は、複数の銀行に出して比べる予定にした
借り換えを考えるなら、金利差と費用を計算した
※この記事は2026年10月時点の私の考えです。金利や制度は変わります。記事中の試算は説明用の一例です。運用は元本割れすることがあり、将来の成果を保証するものではありません。
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奈良市生まれ・在住。相談実績800件以上、生命保険28社・損害保険13社から比較できる独立系FP。住宅ローンアドバイザー。住宅ローンと保険・NISAをあわせて見直すご相談を数多く担当。「守りは掛け捨て保険、攻めはNISAで最大効率に」をモットーに、子育て世帯のお金の悩みに寄り添う。自身も小学生の娘を持つ一児の父。
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金利タイプや借入額は、ご家庭ごとに答えが変わります。仮審査の比べ方や借り換えの試算も、一緒に見てみましょう。









