「高校無償化」で教育費はどう変わる?所得制限撤廃の今、あなたの場合を数字で確認してみませんか
岡FP事務所の岡です。
「教育費、正直どのくらい貯めればいいのか分からない」というご相談を、子育て中のご家庭からよくいただきます。特にここ最近は、高校の授業料が無償化されるというニュースが相次いでいて、「じゃあもう教育費のことは心配しなくていいの?」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。
今日は、2026年に大きく変わった高校無償化の制度を入り口に、「結局、教育資金はどう準備すればいいのか」を、できるだけあなた自身の場合に置き換えながら整理してみたいと思います。
なぜ今、これほど教育費の制度が変わっているのか
2026年4月から、高等学校等就学支援金制度が大きく改正され、公立・私立を問わず所得制限が完全に撤廃されました。私立高校(全日制)への支給上限は年45万7,200円まで引き上げられ、文部科学省の試算では、この改正によって新たに支給または増額の対象になる生徒は約80万人にのぼるとされています。令和8年度の予算でも、高等学校等就学支援金等に5,824億円が計上され、前年度の4,074億円からおよそ1,750億円増えました。
この動きは急に始まったわけではありません。もともと高校の授業料無償化は2010年度に、所得制限なしの形でスタートした制度でした。ところがその後2014年度に、家計の状況に応じて公平に支援するという考え方から、年収910万円程度を目安とする所得制限が導入された経緯があります。そこから10年以上かけて、2020年度の私立支援拡充、2025年度の公立分の所得制限撤廃、そして2026年度の私立分の所得制限撤廃と、段階的に「所得制限なし」の形へと揺り戻ってきたのが、今の制度です。
背景には少子化対策としての狙いもあります。「子どもが欲しくても持たない理由」の上位に「教育にお金がかかりすぎるから」という回答が挙がっていたこともあり、教育費の負担感を軽くすることが、少子化対策の一つの柱として位置づけられてきました。大学についても、2025年度から子ども3人以上を扶養する多子世帯であれば所得制限なしで授業料等が減免される制度が始まっており、「教育費は所得に関わらず社会全体で支える」という方向に、じわじわと舵が切られている状況です。
ただし、こうした支援が対象にしているのはあくまで「授業料」の部分です。制服代や教材費、部活動費、塾や習い事の費用、そして大学の入学金や生活費までは対象になりません。「無償化=教育費がゼロになる」というわけではない、という点は押さえておく必要があります。
※この記事の数値は執筆時点(2026年9月)の情報です。
あなたはどのタイプですか
教育資金の準備を考えるとき、お子さまの年齢や家族構成によって、意識すべきポイントはかなり違います。ご相談の中でよく見られる3つのパターンをご紹介します。
いかがでしょうか。どのタイプであっても大切なのは、「制度がどう変わるか」ではなく「自分の場合、いつ、いくら必要になりそうか」を具体的につかんでおくことです。
「守りは保険、攻めはNISA」を教育資金にも
私がいつもお伝えしているのは、「守りは掛け捨て保険で盤石に、攻めはNISAで最高効率に」という考え方です。これは死亡保障だけでなく、教育資金の準備にもそのまま当てはまります。
学資保険は、保険料を払い込むことで自動的に貯蓄が進み、契約者(親)に万一のことがあった場合はその後の保険料払い込みが免除されて満期金は予定通り受け取れる、という「守り」の機能を兼ね備えた商品です。一方で、貯蓄性のある保険は予定利率や商品設計によって増え方に上限があり、途中で解約すると元本割れすることもあります。
- 予定利率ベースで一定、増え方は緩やか
- 契約者に万一があれば以降の保険料が免除される
- 満期・据置期間があらかじめ決まっている
- 途中解約(特に早期)では元本割れすることがある
- 運用成果次第で増減、長期では増えやすい傾向
- 必要保障額は別途、安い保険料で確保しやすい
- いつでも引き出し・積立額の調整がしやすい
もちろん、「万一のときの安心」を重視して学資保険を選ぶこと自体は、間違いではありません。大切なのは、貯蓄と保障をなんとなく1つの商品にまとめるのではなく、それぞれ何のために準備しているのかを分けて考えることです。
あなたの場合に置き換えると、どうなるか
ここからは、具体的な数字でイメージしてみましょう。あくまで一例としての試算で、実際のお客様のデータではありません。お子さまの年齢や進路によって、必要な金額もタイミングも大きく変わります。
数字だけを見ると「意外と何とかなりそう」と感じるかもしれませんし、逆に「思ったより必要かもしれない」と感じるかもしれません。どちらであっても、大切なのは一般論ではなく、あなたの場合の数字で確認することです。
奨学金という選択肢も、あなたの場合で考えてみませんか
大学費用の準備方法は、学資保険やNISAだけではありません。日本学生支援機構(JASSO)の奨学金も、うまく活用すれば選択肢の幅が広がります。
奨学金(第二種、利率見直し方式)の金利は、直近では月によって0.02%〜0.3%程度の間で推移しており、自動車ローンや住宅ローンと比べてもかなり低い水準です。この金利の低さが、「投資信託やNISAの積立を取り崩さずに、奨学金を活用する」という考え方を成り立たせている一因になっています。
- 奨学金を利用しないので利息は発生しない
- 投資信託を売却するため、その後の運用益は得られない
- 在学中は利息が発生しないことが多い
- 投資信託を年率5%で4年間運用できた場合、単純計算で約107万円資産が増える計算(将来の運用成果を保証するものではありません)
もちろん、奨学金を借れば卒業後にその分の返済義務が生まれます。たとえば第二種奨学金を満額の576万円借り、金利が0.3%で推移したと仮定すると、年間の利息はおよそ1万5,000円程度から始まり、元金が減るにつれて利息も減っていく計算になります(あくまで一例で、金利は変動します)。「借りたお金で運用する」という考え方に抵抗を感じる方は、無理に活用する必要はありません。大切なのは、ご自身の価値観や資金状況にとって、どちらが無理のない選択かを確認することです。
私自身も奨学金を活用した一人で、34歳になった今も返済を続けています。急いで一括返済していない理由は単純で、金利が低すぎて急いで返すメリットがあまりないと感じているからです。子ども1人あたり1,000万円前後を貯めておくのは簡単なことではありませんが、そのうちの一部を奨学金でまかなうことができれば、家計の負担はかなり軽くなります。
奨学金を使うかどうかに、決まった正解はありません。大切なのは、「なんとなく借りたくない」「なんとなく使った方が得そう」という感覚ではなく、金利や家計基準、ご自身の資産状況を踏まえて、あなたの場合にとって一番無理のない組み合わせを選ぶことです。
よくある疑問にお答えします
Q. 高校が無償化されたなら、もう教育費の準備はしなくていいのでは?
無償化の対象になるのは、あくまで授業料に相当する部分です。制服代、教科書代、部活動費、修学旅行費、塾や習い事の費用などは対象外のままです。また、大学や専門学校に進学する場合の入学金・授業料・生活費は、無償化の対象がまったく別の制度(多子世帯向けなど条件付き)になるため、引き続き準備が必要なケースがほとんどです。
Q. 子どもが2人以上いる場合、教育費はどう考えればいいですか?
お子さまが2人であれば、単純計算で教育費の目安もおよそ2倍、1人あたり1,000万円前後を目安とすると、合計で2,000万円前後を見込んでおく家庭が多いです。ただし、多子世帯向けの大学無償化のように、お子さまの人数が多いことで使える制度が増える場合もあります。人数が多いからこそ、早めに「どの制度が使えそうか」を確認しておく価値があります。
Q. 学資保険とNISA、結局どちらを選べばいいですか?
どちらか一方を選ぶというより、目的によって使い分けるという考え方をおすすめしています。「契約者に万一があっても教育費だけは確保したい」という安心を重視するなら学資保険や収入保障保険、「効率よく増やしたい」という部分はNISA、というように役割を分けると、それぞれの良さを活かしやすくなります。
奈良・生駒近郊にお住まいの方へ
奈良市や生駒市近郊で、注文住宅を検討中、あるいは購入されたばかりという共働き子育て世帯の方から、教育費に関するご相談を数多くいただいています。住宅ローンを組んだタイミングは、家計全体を見直す良い機会でもあります。「住宅ローンの返済」と「教育費の準備」の両方を同時に考える必要があるからこそ、それぞれにどれくらい配分するのか、一度整理してみませんか。
まとめ
ここまで読んでいただいて、「うちの場合、実際いくら必要になるんだろう」と思われた方も多いのではないでしょうか。お子さまの年齢や想定する進路、住宅ローンとのバランスによって、必要な金額もタイミングも一つひとつのご家庭で違います。

奈良市生まれ・在住。相談実績800件以上、生命保険28社・損害保険13社から比較できる独立系FP。「守りは掛け捨て保険、攻めはNISAで最大効率に」をモットーに、子育て世帯のお金の悩みに寄り添う。自身も小学生の娘を持つ一児の父。
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学資保険が良いのか、掛け捨て保険+NISAが良いのか。あなたのご家庭の場合で一緒にシミュレーションします。











